フェニルピラゾール系のシロアリ防除剤は遅効性が高く殺蟻成分の伝播に優れているため、
イエシロアリのような固定巣を持つシロアリには特に有効です。
某薬剤メーカが行った試験によると、
シロアリが薬剤処理をした土壌面にシロアリを放虫したところ、
ネオニコチノイド系の2種のシロアリ駆除剤は40分以内でイエシロアリの試験個体がすべて動けなくなりましたが、
フェニルピラゾール系の某シロアリ駆除剤は試験開始から240分を経過した頃から試験個体の異常が現れ、すべての個体が動けなくなるまでに試験開始から360分の時間がかかったという報告データがあります。
以前であれば、細かな木材穿孔を行い、シロアリ駆除剤の注入を行い、イエシロアリを駆除する方法が行われていましたが、
シロアリの侵入経路を特定し、食害範囲を想定して、巣全体に薬剤を回すことで、最小の木材穿孔で確実にイエシロアリを駆除することができます。





翌日の蟻道の様子です。職蟻が蟻道を修復できずにノックダウンしています。
もう一つ、イエシロアリに対して有効な駆除方法に、職蟻に脱皮ができなくなる薬を食べさせて巣ごと駆除する「ベイト工法」と呼ばれる方法があります。

イエシロアリのコロニーは、数十万頭から百万頭の数をも言われていますが、すべての通り道が一つの巣につながっており、
巣の中心の女王や兵アリは、巣の全体の9割を占める職蟻(しょくぎ)から餌を分け与えてもらっています。
職蟻が脱皮をできなくなり死滅すると、巣の中心の生殖階級のシロアリや兵蟻は餌を食べることができずに餓死してしまいます。